トップラインを上げる方法とは?売上を上げる鍵は営業にあった!
企業のトップライン向上には売上を構成する3つの要素が関係しています。
3つの要素の数値をいかにして上げるかが、あらゆる戦略の根底にあるのです。
トップラインを上げることは多くの企業が掲げる目標でしょう。
今回は戦略を立てる前に知っておくと良い基本語句の説明を始め、実際にトップラインを上げるために大切なポイントやアイデアを紹介します。

目次
そもそもトップラインやボトムラインとは?

「トップラインを上げる」
「売上を上げる」
「売上高を上げる」
など、さまざまな言い方がありますがこれらは全て同じ意味で用いられます。
トップライン=売上高、または売上です。
この章では「トップライン」や対義語である「ボトムライン」について、詳しく解説します。
トップライン
「トップライン」とは、企業がサービスや商品を顧客へ提供することにより稼いだ売上金額の総額のことです。「売上高(売上)」ともいいます。
トップラインの大きさは、業績規模を示します。
つまり、トップラインが大きければ大きいほどその事業は市場においてかなりの規模を広げているといえるのです。
単純に、ひと月に単価200円の商品が10,000個売れたら、その月のトップラインは200万円となります。
トップラインの数字は、商品やサービスの提供にかかる原価や費用などを一切考慮しません。
純粋な売上高を示しています。
似ている言葉に「営業収益」があります。
営業収益
営業収益とは会社が継続して営む本業の収益のことです。
営業収益とトップラインの明確な使い分けは商慣習的な取り扱いの部分もあり難しいとされています。
簡単にいえばサービスなどのような無形のものは「営業収益」、製品や商品など有形物を販売する場合には「売上高」と表示されます。
つまり営業収益は会社が継続して営む本業からの収益であるため、トップラインは営業収益に内包されているのです。
ちなみに、営業収益から販売にかかったコストや人件費、原価などを差し引いたものを「営業利益」と呼びます。
これがその事業の、本業における儲けになります。
ボトムライン
ボトムラインは純利益(最終損益)のことです。
事業を行って得た利益(経常利益)から、その期だけ例外的に発生した損益(特別損益)を加味して税金を差し引いた利益を指します。
経常利益には本業における利益のほか、資産運用など本業以外で発生した損益も含まれています。
簡単にまとめると、ボトムラインはその期における企業の最終的な利益のことです。
トップラインとボトムラインどちらを優先した方がいい?

ボトムラインよりもトップラインの向上を優先した方が良いでしょう。
もちろん、企業経営において利益やキャッシュフローであるボトムラインはとても大切なものです。
しかし、前提としてボトムラインの発生はトップラインあってこそのものです。
受注や売上が増えない限り、ボトムラインの大きな向上につながることはありません。
トップラインが大きければ大きいほど、その企業の元手が大きいことを意味します。
そのため、多くの企業がトップラインを上げようとさまざまな施策を講じているのです。
売上高を構成する3つの要素

売上高は大きく3つの要素で構成されています。
- 集客数:顧客の数
- 成約率:顧客が購入や契約などのアクションを起こした割合(コンバージョン率とも)
- 顧客単価:商品を購入した顧客のうち、1人あたり何円の売上になっているかを示す数値
成約率がどれだけ大きくても、顧客単価が低ければ飛躍的な売上向上にはつながりません。
トップラインを上げるためには、この3つの要素をバランスよく育てることが肝心です。
トップライン(売上高)を上げるためのポイント

トップラインを上げることを目標とした際に押さえておくと良い、基本のポイントがあります。
- 新規顧客を獲得する
- 顧客を囲い込む
- 顧客単価を上げる
- 商品単価について検討する
基本的な内容ですが、これらをいかにして達成するかが難しいところ。
戦略の立て方についてはフレームワークと呼ばれるものを指針にするのがおすすめです。
フレームワークを用いた戦略の立て方については、下記の記事をご覧ください。
関連記事:シェア拡大で売上アップ!戦略設計に必要なフレームワークを紹介
新規顧客を獲得する
新規顧客の獲得は売上の向上につながります。
この場合、特にマーケティング施策が有効でしょう。
広告やコンテンツで自社サービスや商品のことをアピールし見込み客を増やした上で、成約へとつなげる営業アプローチが大切です。
ここで意識した方が良いのは既存顧客のことをキープしつつ、新規顧客を獲得することでしょう。
新規顧客の獲得にばかり注力し既存顧客のことを放置気味にしてしまうと、結果的に売上低下につながってしまう可能性も十分に考えられます。
顧客を囲い込む
顧客の囲い込みとは、既存顧客が競合へ流出しないように防止することです。
商品やサービスへの満足度は高いのに継続利用が少ないというパターンが生まれてしまうのは、企業への愛着(顧客ロイヤリティ)などが低い可能性があります。
流出防止のためには企業への信頼感や顧客ロイヤリティを高め既存顧客を固定客化、またはファン化させることが重要なポイントとなります。
ファン化した「ロイヤリティ顧客」を育成するためには、継続利用を目的としたアプローチが必要です。
リピート顧客は、売上に大きく関係しているのはもちろん、口コミなどによるインフルエンサーの役割になる場合もあります。
中長期の顧客データが得られることにより、新製品やサービスの開発に活用することもできます。
売上の落ち込みや集客の失敗例として挙げられるのが「既存顧客へのアプローチ不足」です。
売上を上げたいと考える企業は新規獲得だけでなく、既存顧客をいかに固定客化させるかも考慮した方が良いでしょう。
リピート顧客の確保
リピート顧客の確保も、売上を上げるために大切な要素といえます。
長年ご愛顧いただいている顧客や、期間はバラバラであっても複数回利用してくれる顧客など、商品・サービスの売上に大きく貢献しているのが、これらのリピート顧客なのです。
さらに、リピート顧客の確保は新規顧客の確保と比べてマーケティングコストが低いという特徴があります。
新規顧客を獲得するためには、認知してもらうところから始めなければなりません。
そのためにキャンペーンや広告などの施策を新たに考え、実行しなければならないため、かなりのコストがかかってしまいます。
一方リピート顧客の場合はすでに認知されているため、比較的コストを抑えることができます。
顧客単価を上げる
売上を上げるために顧客単価にも注目しましょう。
たとえ客数が増えなかったとしても、顧客単価が2倍になれば売上も2倍になります。
顧客一人ひとりの購入価格が上がることで売上の向上につながるのです。
顧客単価を上げるためには、確実に購入してもらうための工夫が鍵となります。
顧客単価を高めるための方法を「クロスセル」「アップセル」といいますが、それぞれアプローチ方法が異なります。
クロスセル
顧客に多くの商品・サービスを利用してもらうことで客単価を上げる方法のこと。
顧客が検討している商品とは違う商品を、合わせて提案することなどがクロスセルとして挙げられます。
例えばECサイトの場合、ユーザーの購入履歴などから「商品と同種」「この商品を購入した方は他にこういった商品も購入しています」などのような文言がありますが、これらもクロスセルのアプローチ方法です。
顧客へのDMや定期メールの送信もクロスセルに含まれます。
アップセル
アップセルとは顧客が購入を検討しているもの、またはすでに購入経験がある顧客に対してより高いグレードを提案するアプローチ方法です。
例えば、以前10万円のパソコンを検討していた顧客に対して、15万円の新機種を提案したり、年会費無料の会員から有料会員へ促すこともアップセルにあたります。
商品単価について検討する
商品の販売価格を上げる、または下げることもトップライン向上に関係しています。
前述の「顧客単価を上げる」とは異なり、販売価格を下げて販売個数を増やすこともトップラインを上げるために有効です。
現状の販売価格が果たして市場に適しているのか、売上につながっている状況なのかを検討した上で販売価格の見直しを行うことが大切です。
競合や市場の調査をし、顧客のニーズとすり合わせた上で価格の再検討を行いましょう。
注意点として「値上げ」は一般的にネガティブな印象を抱かれやすいことが挙げられます。
原材料高騰などのように社会全体の影響が強い場合でなければ、販売価格の値上げでトップラインを上げようとする場合は慎重に検討した方が良いでしょう。

トップラインを上げるためのおすすめステップ

Step1 現状のデータを集める
まずは一定期間における成約率やリピート率を算出したり、競合他社と自社の売上を比較したりすることで自社の立ち位置などを正確に把握することから始めましょう。
最初は月次単位で集めやすいデータから集中的に収集し、次第に収集頻度や項目を改善していくのがおすすめです。
業種や人員体制によって収集しにくいデータが含まれていた場合は、そのデータに紐づけられているより収集しやすいデータで代用してみるのも良いでしょう。
Step2 ボトルネックを探す
自社の現状を把握できたら、トップラインの成長を妨げる原因(ボトルネック)を探しましょう。
ボトルネックには次のようなものが挙げられます。
- 新規顧客が集まらない
- 顧客のリピート率が悪い
- 成約率が低い
- 顧客単価が低い
見つけたボトルネックを「なぜ新規顧客が集まらないのか」「なぜ顧客のリピート率が悪いのか」と深掘りすることで改善策を立てるための指針決めに役立ちます。
自社の業態などすべてを踏まえた上で改善できそうな数値を吟味して選びましょう。
一方で「特にボトルネックが見当たらない」ということもあります。
この場合、根本部分に課題や問題点がないかを確認し、再度データ収集を行ってみましょう。
Step3 改善計画を立てる
見つけたボトルネックを改善するための施策を立てましょう。
トップラインを上げるためには今までと同じやり方を続けるのではなく、何かしらの改善計画を実行することが大切です。
改善策も実行してからそのまま放置するのではなく、PDCAサイクルを回しさらなる改善をしていきましょう。
ボトルネックや改善計画を見つける際におすすめなのが「ロジックツリー」と呼ばれるフレームワークです。
ロジックツリーは物事を構成しているあらゆる要素を一つずつ分解して行くフレームワークのため、課題箇所の特定などにとても有用です。
ロジックツリーの詳細は下記の関連記事をご覧ください。
関連記事:売上低迷の原因とは?ロジックツリーを使って売上を伸ばす戦略を立てるには
売上向上の鍵となるのは営業活動

「トップラインを上げる」という目標を達成するための実質的なアクションに関して、営業活動がその大部分を担っているといえます。
先述のクロスセルやアップセルが分かりやすい例でしょう。
「売上向上の要は効果的な営業活動」といって過言ではないのです。
営業活動の担当者一人ひとりの営業スキルを高めることが求められ、さらにその活動をどう管理していくのかもポイントになります。
適切な管理
営業活動で得たデータや営業プロセスは可視化したりマニュアル化したりして管理するのがおすすめです。
案件情報を可視化、営業プロセスをマニュアル化することで「いつ」「誰が」「どの案件を」「どのように対応したのか」などの情報を共有することが可能になります。
安定したトップラインを得るためには「営業活動の方法が個々人で違うため売上が変動する」といった事態は避けなければなりません。
データを可視化し営業プロセスをマニュアル化することで、ノウハウを社内全体に共有することができ、全体の営業力の底上げが見込めるでしょう。
売上を上げるアイデア5選

売上を上げるためにはあらゆる手段が考えられます。
顧客に対する営業方法を変えるのか、社内の業務見直しを行うのかなど、企業や戦略によってアプローチ方法は変化するでしょう。
今回はその中でも5つに絞った「売上を上げるためのアイデア」を紹介します。
①インバウンド営業の導入
「インバウンド営業」とは、消費者からの問い合わせやアプローチに応じて営業をかけることです。
この対義語として「アウトバウンド営業」があります。
これは企業側が顧客側へアプローチをかけるものです。
消費者からの問い合わせなどを増やすために行うマーケティングを「インバウンドマーケティング」といい、イベントやセミナー、SNS、動画、検索エンジンなどがこれにあたります。
インバウンドマーケティングに反応した顧客は自社への興味関心が高く、成約確度が比較的高いと考えられます。
あらかじめ製品やサービスに興味を持った顧客に対して営業を行なうため、アウトバウンド営業(※企業側から消費者へアプローチする営業方法)などよりも成約率が高く、トップラインの向上が見込めるのです。
一点、インバウンド営業はすぐに成果が出るわけではないことは留意しておく方が良いかもしれません。
インバウンド営業はまず顧客からの関心を引き出すことから始める上に、そもそも相手からのアクションを待つ必要があるため成約までどうしても時間がかかってしまうのです。
インバウンド営業を行うのであれば、長期的な目を持つことを意識しましょう。
アウトバウンド営業
「アウトバウンド営業」とは、企業側から消費者へアプローチする営業方法です。
テレビCMやDM、テレマーケティングを用いたものは「アウトバウンドマーケティング」といいます。
従来のマーケティングや営業はアウトバウンドが主流でしたが、近年ではインバウンド営業の手法を取るところが多くなってきました。
理由としてインターネットやSNSの発達が挙げられるでしょう。
以前であれば営業活動の担当者から得ていた情報が、今では容易にネット上で得ることができます。
情報収集力や情報収集の環境が成熟している昨今において従来のアウトバウンド営業は相性があまり良くないため、より効率的かつ効果的な営業方法としてインバウンド営業が台頭してきたのです。
②ニーズに合わせて商品の見直しや新開発を行う
ユーザーのニーズに合わせて商品の見直しや、場合によっては新製品を開発するのもおすすめです。
顧客は基本的に「お金を支払ってでも欲しい」と感じたものしか購入しません。
お金を支払ってでも欲しいと顧客が感じるものは時間経過によって変化します。
ファッション業界は特に顕著でしょう。
トレンドカラーや流行りの生地、流行りの形などで顧客が求めるものは大きく変わります。
夏場は鮮やかな色が流行っていたのに、秋になると落ち着いたシックな色味が流行っていたということがあれば、それに合わせた製品の開発が必要になります。
移り変わる顧客ニーズを把握するためにSNSや情報誌などの媒体をチェックし、常に最新のトレンドを把握し、反映させていきましょう。
また、営業活動の担当者から現場の生の声を聞くのも大切です。
③リピート顧客に向けてお得な特典を用意する
リピート顧客の流出を防ぐため、何かお得な特典を用意するのが良いかもしれません。
具体例としてスタンプカードやクーポンなどが挙げられるでしょう。
利用するほどお得になる制度を導入することもおすすめです。
会員のランクアップ制度が例として挙げられます。
ポイントの倍率や、限定のクーポン配布など、高いランクになるほど特典を増やすことで継続的な利用の促進につながります。
④既存顧客に新規顧客を紹介してもらう
既存顧客からご家族やお知り合いを紹介してもらうのも一つの手です。
例えば「既存顧客が紹介した方が実際に購入や成約をすると、両者へプレゼントなどの特典を贈呈する」などのキャンペーンを催すことで、新規顧客獲得の機会が得られます。
新規顧客の獲得だけでなく、特典内容によっては既存顧客の流出防止にもつながるでしょう。
⑤業務クオリティを高める
従業員一人ひとりのパフォーマンス向上や業務の効率化を図ることで業務そのもののクオリティが高まり、売上向上への大きな貢献が期待できます。
システムやツールの導入により作業時間の削減を行ったり、人材育成に力を入れたりして業務全体のクオリティを高めることが例として挙げられます。
企業への貢献度が高い従業員は、見つけようと思って簡単に見つかるわけではありません。
そのため、企業が人材を育てる必要があるのです。
業務クオリティを高めるための人材育成の方法については、下記の関連記事をご覧ください。
関連記事:人材育成の方法とは?社員の育成イメージに大切なフレームワークを紹介
売上の3要素と戦略:自社のボトルネックを探そう

売上を構成する要素は「集客数」「成約率」「顧客単価」の3つです。
計算で用いられる大きな分類項目がこれらというだけで、実際にはリピート顧客数や購入頻度なども売上を構成する要素と考えられます。
これらの数値を伸ばすことが売上向上に欠かせないのですが、どの数値を伸ばすのかは戦略によって異なります。
例えば今回例に挙げたインバウンド営業の導入は集客数や成約率アップにつながる見込みが高いです。
よりニーズにマッチした商品の開発や価格の見直しは、顧客単価の向上や購入頻度アップにつながるでしょう。
どの要素を伸ばし、トップラインを上げた方が良いのかは企業によって異なります。
これは企業によって市場の立ち位置や弱点、現状などが違うためです。
そのため、まずは自社の分析を行うことを推奨します。
分析から自社のボトルネックを見つけ、そこから改善策を立てるのがおすすめです。
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