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人材育成の目的とは?会社の課題解決のためまず育成と教育の違いを理解しよう

人材育成 未分類

企業の将来を担う人材を育てるための人材育成は、企業の成長には欠かせない取り組みです。

しかし、人材育成を始めようにも、どのように進めればよいのか分からない企業も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は人材育成の目的や大切なこと、具体的な人材育成制度などを解説します。

本コラムを参考に、企業に合った人材育成の取り組みのご参考としてぜひ最後までお読みください。

関連記事:人材育成をする意味とは?教育と育成の違いは?育成で大切なことと一緒に詳しく解説

中小企業119
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人材育成とは

人材育成とは、企業の経営目標達成に貢献できる人材を育成することであり、その目的は企業の競争力を高め、利益を最大化させることです。

人材育成には教育やOJTなどの方法があります。

社員に新たなスキルや知識を身に付けさせたり、マインドの持ち方などを教育することで社員のレベルを向上させ、企業の業績拡大が期待できます。

また、人材育成は企業全体の活性化にもつながります。

社員が成長することで、企業の風土や文化が向上し、社員同士の協力や連携が促進されるためです。

このように、人材育成は、企業にとって重要な経営課題の一つであり、企業の持続的な成長のために不可欠な取り組みといえるでしょう。

人材教育との違い

人材育成と人材教育はどちらも社員の能力を向上させるための取り組みであるため、混同されやすい言葉です。

しかし、両者には明確な違いがあります。

人材育成は、企業の経営目標達成に貢献できる人材の育成に重きを置いています。
最終的な目的が利益の最大化であるためです。

一方、人材教育は、単純に知識やスキルを教えることを指します。
人材教育の目的は、社員が特定の知識やスキルを習得することであり、企業の経営目標達成に直接つながるとは限りません

人材開発との違い

人材育成の対象は若手社員や管理職など特定の層に限られることが多く、育成の期間としては中〜長期的を想定しています。

社員のパフォーマンスを向上させ、最終的に企業の業績拡大につなげることが人材育成の目的です。

一方、人材開発は、従業員一人一人の能力やスキルを最大限に発揮できるように支援することを目的としています。

そのため、個人や部署などの特定層ではなく組織全体での取り組みであることが多いです。

全社員が必要なスキルや能力を短期間で身に付けることを目的として行われるため、人材育成というより人材教育の方が意味合いとしては近いかもしれません。

企業における人材育成の目的

冒頭でも少し紹介しましたが、人材育成の目的は利益の最大化です。
利益の最大化には企業の成長が欠かせません。

企業の成長に何が必要か考えた際に挙げられるのは「業務の効率化」でしょう。

業務の効率化と一言でいってもさまざまです。

チームワークを強化することで業務を円滑にしたり、個々人の能力を底上げしたりなど、あらゆる視点から考えられます。

人材育成は企業によって異なる課題などを明確にし、何が必要なのかを分析した上で適切な戦略を立てる必要があります

企業における人材育成の課題と解決策

「人材育成をする」と言葉にするのは簡単です。

しかし、人材育成に対してさまざまな課題があるのも事実です。

厚生労働省の調査結果(「平成30年版 労働経済の分析」)によると

  • 従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない|53.5%
  • 上長等の育成能力や指導意識が不足している|45.4%
  • 従業員が能力開発に取り組むため不在にしても、その間、他の人が業務を代替できる体制が構築できていない|39.5%
  • 育成指導を受ける従業員側の意欲が低い|39.1%
  • 社内で人材育成を行う雰囲気がない|30.4%

という結果(一部文言を省略しています)でした。

多くの企業が人材育成に充てる時間や、指導担当者の力不足などに対して課題を抱えているようです。

反対に、これらの課題が解決できれば人材育成をスムーズに進めることが可能といえるでしょう。

この章ではそれぞれの課題の詳細と、解決策を紹介します。

従業員の業務が多忙で、人材育成に充てる時間を確保できない

多くの企業が抱える課題が、この人材育成に充てる時間についてです。

一般的に人材育成担当者は他の業務と並行して人材育成を行います。

そのため、業務の優先順位を考えた際に育成指導を後回しにしてしまう事態が発生してしまうかもしれません。

人材育成が後回しになった場合、学ぶ側のモチベーション低下や育成計画の変更などが懸念されます。

育成指導が停滞する状況を回避するためには、企業側が担当者の業務量を見直し、量を調整することが重要です。

今まで割り振っていた業務にプラスするのではなく、人材育成も業務として認め、含めた上で改めて業務配分をすると良いでしょう。

ここで大切なのが企業全体の人材育成に対する姿勢です。

減らした業務は他の人へ回すことになりますが、この時に企業全体で人材育成をサポートするような姿勢でなければ、組織内の軋轢の原因となりかねません。

上長等の育成能力や指導意識が不足している

育成能力の低さや指導意識のなさが、企業内で問題視されています。

育成スキルが不足していると場当たり的な指導になったり、その都度適切な対応ができなかったりする可能性が考えられるでしょう。

例えば担当者の現状把握能力が不足していた場合、学ぶ側の習熟度を見誤り、現状のレベル以上の業務を任せてしまう、ということがあるかもしれません。

指導意識に関しては、人材育成の担当者だけでなく企業側にも問題がないかを確認する必要があるでしょう。

もしかしたら、自身の業務に追われて人材育成が満足にできていないという可能性もあります。

これは先ほどの「人材育成に充てる時間を確保できない」でお話した内容と通ずるところがあるでしょう。

人材育成を受ける社員だけでなく、人材育成の担当者にもしっかりと気を配り、企業全体で業務などのサポートをしてあげることが大切です。

他の人が業務を代替できる体制が構築できていない/社内で人材育成を行う雰囲気がない

企業側が人材育成に対して非協力的だと、納得のいくような人材育成は望めません。

人材育成を受ける社員はもちろん、人材育成担当者のことも支える体制を組織全体で整える必要があるのです。

業務負担の大きい担当者の業務を、他の人に分けた方が良いというのは先述のとおりです。
担当者は自分の業務を満足にこなせない上に、人材育成も片手間でやることとなり、生産性が高いとはとてもいえないためです。

よくあるのが、管理職の立場にありながら人材育成を軽視しているパターンです。

「育成は本来の業務ではない」として、育成担当者の通常業務にプラスして人材育成業務を割り当てていることがあります。

人材育成は社員一人がすることではなく、企業全体で行うれっきとした「業務」であることを理解し、全社員へ共有しましょう。

ただ、協力的でありさえすれば良いという話でもありません。

人材育成に携わった社員たちを適切に評価する機会や成果が可視化されるシステムなどを導入してあげることがおすすめです。

例えば、担当者や対象者の頑張りを客観的に評価するための人事制度が挙げられます。

育成指導を受ける従業員側の意欲が低い

企業の人材育成に対する意識の低さが課題として挙げられる一方で、育成指導を受ける社員の意欲の低さも問題視されています。

企業全体が人材育成に対して意欲的でも、育成される社員に積極的な意欲がなければ期待しているような効果は得られません

少しでも育成対象者の意欲を引き出すために、まずは人材育成を行う目的を共有しましょう。

企業側が「なぜ人材育成を実施するのか」という目的を事前に伝えることで、対象者が求められている理想像を描きやすくなります。

組織全体の持つビジョンや育成の目的をあらかじめ共有しておくことで、対象者側としては学びの姿勢を保ちやすくなるでしょう。

育成対象者の意欲を引き出すには、人材育成の目的と重要性を事前に伝えておくことが大切です。

【注意】人材育成そのものが目的化しているケース

目標や到着地点を設定しないまま人材育成をするケースを時折見かけます。

教育者を決めただけで後は担当者に任せきりにしたり、研修実施後のフォローや効果測定を行っていなかったりなど「人材育成をやってる」感で満足するパターンです。

こうなると結果につながらない人材育成となってしまうかもしれません。

当てはまる組織があれば、改めて「『人材育成の成功=企業の成長』のため、どのような人材が必要なのか」などの追求からやり直した方が良いかもしれません。

設定する目的、目標は具体的なものにしましょう。

定量的なものであればなお良いです。

より効率良く効果の出る人材育成を行いたいのであれば、人材育成の目的を明確化させるのがおすすめです。

人材育成にとっての大切な考え方

人材育成を行う上での課題と、その対策が分かったところで実際に人材育成を始めるための準備をしておきましょう。

この章では人材育成を行うにあたって大切な心構えや、事前に分析しておくと良い事柄などを紹介、解説します。

目標を設定する

人材育成において、明確な目標設定は必須事項といっても過言ではありません。

目標を設定した方が良い理由として、主に下記の4つが挙げられます。

  • 社員のモチベーションアップにつながる
  • 社員のさらなるスキルアップが図れる
  • 企業の方向性を全社員に共有することができる
  • 企業全体の目標や理念の達成に近づける

それぞれ詳しく解説します。

社員のモチベーションアップにつながる

明確な目標を設定することは、人材育成を受ける社員のモチベーションアップにつながります。

目標を設定することで「この目標を達成したい」と意欲が湧き、前向きに業務や研修などに取り組むことができるでしょう。

また、中間目標などを定めておくことでモチベーション維持を図ることも可能です。

大きな目標を一つ設定するだけでなく、その過程においても目標を設定しておくことで成功体験を積み重ねることができます。

成功体験はモチベーションの維持に欠かせないものであるため、中間目標の設定はとても有効だといえるでしょう。

しかし当然ですが、設定するものは人材育成を受ける社員が達成できる目標にしなければならない点には注意が必要です。

全く達成の見込みがない目標はモチベーションの維持どころかマイナスに作用してしまうでしょう。

事前に企業全体が目指すビジョンを共有した上で「このビジョンに到達するためには、あなたにこうなってもらう必要がある」と個人の目標設定を行うのがおすすめです。

社員のさらなるスキルアップが図れる

目標の設定は人材育成を受ける社員の、さらなるスキルアップが期待できます。

目標までの過程において、社員自身が「このままでは目標達成が難しいかもしれない」と判断し、自主的に研修を受けたり先輩社員にアドバイスを求めたりなど、自己成長に対する自発的な姿勢への発展が見込めます。

企業の方向性を全社員に共有することができる

企業の方向性を示すためにも、人材育成における目標設定は必要なものです。

育成を受ける社員に対して設けられる目標は「企業が最終的に何を目指すのか」が、必ず根底にあります(後述)。

個人の目標が帰結するところは企業の掲げる目標です。

つまり、人材育成における目標は、経営戦略やビジョンといった企業の方向性を現場に周知する役割もあるのです。

企業全体の目標や理念の達成に近づける

人材育成において社員一人一人に目標を設定することで、企業の掲げる大きな目標や理念の達成に近づくことが期待できます。

人材育成の目的は企業の成長です。

つまり、極端な話ですが一見、全く関係なさそうに見える個人目標でも、行き着くところは企業の掲げる大きな目標なのです。

人材育成で個人に設ける目標は企業とリンクしているため、一人一人がその目標を達成することで着実に企業の目標達成へと近づくことができます。

自主性・自発性を養う

人材育成を行うにあたって前提となるのが「社員の自主性・自発性を養うこと」です。

ここでいう自発性とは、決められたことや指示されたことをそのまま行うのではなく、その前に自ら進んで行動に移すことを指します。

いわれたことをただ行う、すでにルール付けされていることをマニュアル通りに動くだけ、などは社員本人の成長につながりません

周りがいくら育成のために努力したとしても、そこに本人の意思が伴っていなければ人材育成の成功とはなり得ないのです。

社員の自主性・自発性を高めるためには、社員が自ら考えて提案する機会を増やすことが有効です。

また、人材育成を受ける社員に成功体験を積んでもらうことも効果的でしょう。

成功体験は、育成を受ける社員発の行動が引き起こした成功、または変化でなければあまり効果は見込めないため注意してください。

「自分が、自分の力でやったんだ」と思ってもらうことが大切なのです。

定期的に1on1を開くのも、社員の自発性を高めるためのアクションとしておすすめです。

ミーティングで職場環境に対する悩みを聞いたり、将来像を考えてもらうことで自主性・自発性を高めることにつながります。

モチベーションを管理する

社員のモチベーションを管理することは人材育成においてとても大事な要素です。

ここでいう社員には、人材育成を受ける側だけでなく人材育成担当者も含まれます。

「モチベーションが低い」状態は、仕事などに対する積極性や主体性が欠けている状態です。

主体性が欠けていると行動原理が自身の内部から発生した感情や意識ではなく、外部から与えられたものとなってしまいます

つまり「あの人から指示されたから」「こうマニュアルに書いてあるから」などのように「やらされている」という感情で、動くようになってしまうのです。

「やらされている」という心理状態では一つの作業にかける時間が長くなり、組織全体の生産性が下がってしまいます。

こういった問題があるため、人材育成を行う上でモチベーションの管理は必要不可欠と言えるのです。

モチベーションの向上や維持に「これ」といった解決策はありません。
人によってモチベーションにつながるものは異なるためです。

金銭面をモチベーションにしている方もいれば、一人で仕事を任せられることでモチベーションを高める方もいます。

人材育成を受ける社員が何を行動原理にして働いているのか、1on1や普段のコミュニケーションを通じて把握しておくと良いでしょう。

人材育成は長期的な視点で考える

短期間で人材育成を行ったからといって、結果につながるわけではありません。

人材育成は中・長期的に行うものだという前提を理解しておきましょう

例えば、人材育成において対象の人材に求められる能力として「環境の変化を察知する能力」や「変化に適応する能力」などが含まれている場合があります。

変化の著しい昨今、こうした順応力を求める企業は少なくありません。

こうした能力は通常の社員研修で培うことはとても難しいものです。

普段の業務はもちろん、日々でのやりとりなどでの学びも含めて初めて身に付くものと考え、長い目を持ちましょう。

スキルマップを作成する

研修などを始める前、つまり人材育成の戦略を立てる段階からあると良いものが「スキルマップ」です。

スキルマップとは、業務に必要な知識や技能を誰が保有しているか、またそれらがどの程度のレベルなのかが見える化された一覧表のことです。

個人単位で書かれている場合やチーム単位で書かれている場合もあります。

スキルマップを作成し、個人やチームの持つスキルを集積することで、組織に不足している部分や手薄となっているポイントが明確になります

改善点が見つかることで、それらの向上に向けての研修などを効率的に行うことができるのです。

また、成長が数値として確認できるため人によってはモチベーションアップにもつながります。

材育成計画は役職や階層別に考える

当然、社員の年次や立場などによって仕事の内容や求められる質は異なります。

新入社員への人材育成内容を、ベテラン社員に対して行うものと同じにしても、計画が完了した際に新入社員がベテラン社員と同レベルになるわけではありません。

新入社員には新入社員に向けた、ベテラン社員へはベテラン社員に向けた、それぞれの力量や求められる能力などに適した人材育成計画を立てましょう。

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人材育成の目標の立て方

人材育成を行う前に必要なのは目標です。

目標を立てなければ非効率的な人材育成となってしまいます。

だからといって熟考せずに立てた適当な目標は、目標を立てていないのと同じです。

人材育成の目標は数値で表せるような明確なものが良いでしょう。

具体的な数値で示すことによって途中経過が分かりやすくなります。

目指す指針にブレがないため、人材育成担当者だけでなく、人材育成を受ける社員も正確に目標まで向かっていくことができるのです。

また、現状との比較や分析がしやすくなり、改善点の洗い出しがスムーズに行えることも利点として挙げられるでしょう。

目標を曖昧に設定していると、着地点も曖昧でどこを目指せば良いのか次第に分からなくなってしまいます。

特に、組織に慣れていない新入社員であればなおさらです。

仮に、企業側が具体的なビジョンを持っていたとしてもそれを社員本人と共有できていなければ意味がありません。

きちんと企業の掲げた目標を数値化した上で社員と共有しましょう。

人材育成で活用できるフレームワーク

人材育成を行うにあたって便利なフレームワークをこの章では紹介します。

フレームワークにはさまざまなものがありますが、今回はよく聞く2つのフレームワークをピックアップしました。

フレームワークとは

企業が望む人材に成長するために必要な思考を分析、整理し、人材育成の方向性や筋道を立てるための実践的な手法が、人材育成におけるフレームワークとされています。

フレームワークとは分析方法のガイドラインのようなものです。

何も分からない状態から人材育成を行うよりも、データや統計に基づき成功パターンをモデル化したフレームワークを活用することでより良い効果が望めるでしょう。

しかしフレームワークはあくまでも指針的なものであるため、必ずしもそれに沿わないといけないわけではありません。

これらのフレームワークにばかり囚われてしまい、本筋を見失ってしまうことがあれば本末転倒です。

あくまでもガイドライン、目安であるということはしっかりと念頭に置いた上で上手にフレームワークを活用していきましょう。

関連記事:人材育成の方法とは?社員の育成イメージに大切なフレームワークを紹介

SMARTの法則

「SMARTの法則」とは、目標を立てる際に基準となる5つの要素のことです。

要素それぞれの頭文字を取ってSMARTと呼ばれます。

5つの要素とは

  • Specific(具体的な)
  • Measurable(測定可能な)
  • Achievable(誰がやるのか割り当て可能な)
  • Relevant(関連性)
  • Time-bound(明確な期限)

これらの要素を含めることを意識して目標を設定すれば、最終的にはより明確な目標となり、目標達成の精度が高まります。

カッツモデル

「カッツモデル」とはマネジメント層と、各層に必要なスキルを示したものです。

マネジメント層は主に以下の3層に分類されます。

  • ロワーマネジメント(監督者):主任、現場監督など
  • ミドルマネジメント(管理者):部長、課長など
  • トップマネジメント(経営者):社長、CEOなど

また、マネジメントには、以下の3つのスキルが重要視されます。

  • テクニカルスキル(専門能力):仕事の遂行スキル、知識など
  • ヒューマンスキル(対人能力):コミュニケーション能力全般
  • コンセプチュアルスキル(概念化能力):論理的思考、俯瞰力など

分けられたマネジメント層ごとに、どのようなスキルが必要とされているのかが明確化されることで、育成時に重視すべき教育が分かりやすくなっています。

カッツモデルは3層に分けたフレームワークですが、他の職種を対象としたモデルを構築することでマネジメント層以外の社員の教育にも活用することが可能です。

人材育成の代表的な育成手法

人材育成で利用される主な手法は「OJT」や「OFF-JT」などの言葉で大別されることがあります。

それぞれに特徴があるため、タイミングによって適したものを選択し用いるのが有効的です。

ここでは人材育成の手法として必ずといっていいほど挙げられる「OJT」「OFF-JT」「自己啓発」の3つを紹介します。

OJT

「OJT」とは「On the Job Training (オンザジョブトレーニング)」の略で、実際の仕事を通じて指導することで知識や技能を身に付けさせる育成方法のことです。

実際の業務を題材にするため、研修やマニュアルだけでは伝わらない細かなニュアンスや実践に即したスキルなどを共有できます

経験を通じて学ぶため、人材育成を受ける社員はより実践的な知識やスキルを身に付けることができるでしょう。

しかしOJTは人材育成担当者の力量が大きく影響します。

指導力が伴わない場合、思うような効果が得られないこともあります。

また、OJTに対して「目の前の仕事を教えること」と勘違いしている方も多く、その場合「目先の仕事のやり方を教える」ことに注力することとなり、OJT本来の役割を引き出せません

OJTは「意図的・計画的・継続的」に行うことが大前提です。

場当たり的に指導しても成果にはつながりません。

そのためOJTを行う前に担当者を対象としたOJTについての研修を実施したり、OJT期間中に育成担当者同士のミーティングを行ったりなど、教え方の情報共有を図る工夫をしている組織が多く見られます。

この実践を通じて何を学んでもらいたいのかなど、事前に具体的な計画を立てた上でOJTを行いましょう。

OFF-JT

「OFF-JT」とは「Off the Job Training(オフザジョブトレーニング)」の略で、実務の場を離れて行う育成手法のことです。

実践的なOJTとは異なり、座学などが含まれており、立てた計画に沿うことで漏れなく必要な知識や技術を得ることが期待できます。

OFF-JTの大きな特徴として、外部に教育を一任することができるところがあります。
外部研修や集合型研修、eラーニングなどがその例です。

より専門性の高い研修を行うことでノウハウやスキルを身に付けてもらい、実務に反映させることを目的としています。

外部研修などを利用することで人材育成担当者の時間確保にもつながるでしょう。

自己啓発

「自己啓発」と一言でいってもその定義はとても広く、自分の意思に基づいて新たに学ぶこと全般を指します。

そのため多くのビジネスパーソンが業務の効率化やスキル習得を目指して自己啓発を行います。

しかし、企業の人材育成においては個人の成長が目的ではなく、習得した知識やスキルを元とした企業の発展が最終目標であることを人材育成担当者側は特に忘れないようにしましょう

そのため設定する目標も「スキルまたは知識の習得」ではなく、それらを習得した先を見据えた上で立てるようにするのが良いです。

自己啓発は基本的に社員それぞれの自主性に任せます。

しかし、企業によっては就業時間内の学習を許容していないところもあるようです。

そうなると、業務終了後もしくは業務開始前に自主的に行う必要生じるため、積極的に時間を捻出する人はあまり多くはないでしょう。

企業側が自己啓発を推奨している場合、業務時間内の活動も許容するなどの寛容な体制が鍵となります。

その他の人材育成の方法

人材育成の手法はOJTやOFF-JTだけではありません。

この章ではもう少し掘り下げた人材育成の手法をいくつか紹介します。

メンター制度

「メンター制度」では「メンター」と呼ばれる先輩社員が後輩社員(「メンティ」)に対して定期的に面談を行い、不安や悩みを聞いてメンタル面のサポートを行います。

業務上のスキルなどを覚えてもらう人材教育と並行して行われることがほとんどです。

ここで相談に乗る悩みは、業務上のことやキャリア形成上の課題解決や社内における交友関係など多岐に渡ります。

対象者は新入社員はもちろん、若手社員や新人マネージャーなどが挙げられます。

メンター制度の目的は社員の不安や悩みを解消することによる離職率の低下です。

社内での孤立感を抱えてしまわないよう、社員同士のつながりを増やし、サポートできる環境づくりを行うことで定着率を高めます。

離職率の低下は企業力の向上にもつながるため、立派な人材育成といえるでしょう。

コーチング

「コーチング」とは、人材育成を受ける社員の目標達成に向けて支援することです。

支援というと簡単そうに聞こえますが、対象者の自発性を促進する教育手法であるためそう簡単なことではありません。

支援を通して対象者自身に気付きを持ってもらうことで目標達成に向けての能力や気力を引き出して、自己成長や自発的な行動まで促します。

コーチングの大きな特徴としてこの「自発性を促す」ことが挙げられるため、ただの支援・助言ではいけません

行動を強制するのではなく、対話を重ねて対象者のポテンシャルを引き出してあげましょう。

基本的には1対1で指導する手法であるため、この点でいえばメンター制度と共通しています。

コーチングと似たものに「ティーチング」がありますが、前者は自分自身の気づきに重きを置いてあくまでも目標達成のサポートを行いますが、後者は答えを与えるものとして使い分けられています。

アクションラーニング

「アクションラーニング」はグループ活動を通して個人やグループ、組織の学習能力を養成するチーム学習法のことです。

さまざまな変化に迅速に対応する必要があるため、社員一人一人の能力だけでなく、組織力の強化も大切なポイントとなります。

グループで現実の問題に対処し、解決策を立案・実施していく一連の過程で生じる個々人の行動とその振り返りを通じて学びを深めます

アクションラーニングは、企業が抱える実際の課題を題材とした学習が行われます。

そのため、社員の能力開発を促進しながら課題解決に近づくことが可能です。

部署や職種の異なるメンバーが参加するため、チームビルディングが実践できるメリットもあります。

さらに、リーダーシップの育成もできるとしてアクションラーニングは注目されています。

現代のリーダー観として、ただ指示をするだけでなく部下に考えさせて自発性を促すというスキルも求められます。

アクションラーニングでは活動を通して、グループを鼓舞し問題解決に導く方法を身に付けることが期待できるでしょう。

企業が持つ課題解決のための人材育成

企業が利益を拡大化するために、まずは課題を把握し、解決策を講じることが重要です。

課題には、以下のようなものが挙げられます。

  • 売上や利益の伸び悩み
  • 競争力の低下
  • 人材不足
  • 生産性の低さ

これらの課題を解決するためには、人材育成が有効な手段となります。

正しく、適切な人材育成は業務の効率化や生産性の向上、優秀人材の確保などにつながります。

社員の能力やスキルを向上させ、モチベーションを高めることで、これらの効果が期待できます。

  • 社員の能力やスキルを把握し、育成の目標を明確にする
  • 社員のモチベーションを高め、主体的に学習する環境を整える

など、人材育成において大切なポイントを押さえた上で、今回紹介したフレームワークや手法などを用いてみてはいかがでしょうか。

人材育成は、企業の持続的な成長のために欠かせない取り組みです。

企業の利益拡大化を目指すため、人材育成には積極的に取り組みましょう。

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